「オイ、貴。コイツ等の前でそういう発言はやめろ」
「なんで?本当の事だから仕方ない。な?凛音」
いや、な?って言われても……。
にっこりと微笑む貴兄に嵐ちゃんは「駄目だこりゃ」と呆れたように溜め息。
温度差の激しい二人に最早他の獅鷹陣は苦笑いするしかない。
「………」
っていうか何この空気。超気まずいんですけど……。
未だ固まっている鳳皇陣と、それを見て苦笑いしている獅鷹陣。
何とも言えない空気が室内に漂っていて。
気まずい。気まずすぎる。
誰がどうにかしてくれ!
そう思った時。
「そ、そう言えば、さっき凛音ちゃんが“色々あってね”って言ってたよね?あれって何?」
慧くんが第一声を切り出してくれた。
その言葉を待ってました!と言わんばかりに瞳を輝かせる。
「そうなの!あれから色々あったのよ!」
これを逃すまいと声が上擦りながらも食らいつく。
「あたし達ね、貴兄達が帰った後、中田を残して帰ろうとしたの。
車に乗って、さぁ出発!って時にあたし何気無く倉庫の入口を見たのね。そしたら、そこに知らない男がいたの」
「知らない男?」
「そう。こっちを見て手振ってた。それを見て物凄く嫌な予感がして、あたし車を飛び出したの」
「お前、せめて何か言ってから行けよな。こっちはびっくりするだろうが」
「……ごめん。あの時は身体が勝手に動いて……」
煌の怒ってるような呆れてるような口調に語尾が自然と小さくなっていく。
そんなあたしを見た貴兄が宥めるように「それから?」と続きを促してくれた。


