おじさんが驚くのも無理はない。


だって、今のあたしの格好、作業着だから。


そりゃTシャツショーパン姿から突然作業着に変わってたら誰でも驚くよね。



……うーん。

思い出すと何だか暑苦しくなってきた。


借りっぱなしも悪いし、此処で脱いでいこうかな。


と思ってズボンのボタンに手をかけたら、


「こんの、馬鹿女ー!!」


「い゙ったぁーい!」


後ろから思いっきり後頭部を叩かれた。


それはもうバシンと気持ち良い音がするぐらい強く。


突然の衝撃に身体が前へと倒れたあたしは、慌てて足を踏ん張り、体勢を立て直した。



「何すんのよ馬鹿煌!!」


「馬鹿はお前だろ、痴女!こんなとこで脱ごうとしてんじゃねーよ!!」


「いいじゃない別に!下にちゃんと履いてるんだから!」


「そういう問題じゃねぇ!ってコラ!脱ぐなっつってんだろ!」


「知らなーい」



ガミガミ五月蝿い煌ママを無視して素早く作業ズボンを下ろす。



……はぁ~スッキリ。


数時間ぶりに外気に晒された足。


気温は高いが風が触れるだけで全然違う。


足だけじゃなく、全身が涼しくなった気がする。



「ハハッ。お嬢ちゃん、さっきと全然違うね。それがお嬢ちゃんの素顔かい?」


脱いだズボンを軽く畳んで地面に置いた時、頭上からおじさんの笑い声が聞こえてきた。