「な、何?」
何とも言えないその表情にたじろぎながらもそう問いかける。
「お前、誰とでも仲良くなるのは良いけどよ。知らない人には着いて行くなよ?」
「……は?」
しみじみと。
本当にしみじみとそう言われた。
しかも憐れんだ目で。
「……りっちゃん。りっちゃんが居なくなったらちゃんと捜してあげるからな」
「俺も」
「………」
煌だけではなく、彼方と陽までそんな事を言い出す始末。
流石のあたしもこれにはぷっちんキレた。
「あたしは子供じゃないっつーの!!」
「ちょ……!」
「オイ!!」
「りっちゃんタンマタンマタンマ!」
「凛音ちゃん!」
拳を振り回しながら三人を追いかけ回すと、それを止めようと追いかけてくる壱さん。
一人ずつ取っ捕まえてムサイの技をかけていると……。
「ムサイ流──!」
「……ッ、オイ!あのタクシーお前が呼んだタクシーじゃねぇのかよ!」
あたしより先にタクシーの到着に気が付いた煌が技をかけながら右方を指差した。
「ん?あ、そうだ!おじさーん!」
その指に導かれ振り向くと、視線の先には数時間前に乗ったタクシーの姿。
掴んでいた煌の服を離し、タクシーに向かって走っていく。
「おじさん!」
「お嬢ちゃん、お待たせ」
「来てくれてありがとう!」
「いやいや。
……おや。来た時と随分格好が違うね」
「あっ、忘れてた!」


