『お嬢ちゃん無事だったんだね。良かった』
「おじさん……心配してくれてありがとう」
おじさんの優しさに自然と笑みが零れる。
そんなあたしを皆は不思議そうな顔で見ていた。
「おじさんあのね、今から工場に来て貰ってもいい?」
皆に視線を滑らせながらそう聞くと、
『あぁ、いいよ。
良かった、帰らなくて』
おじさんは嬉しそうに声を弾ませてそう言ってくれた。
「あたしも良かった。おじさんが近くにいて」
本当に、心からそう思った。
今日初めて会ったにも関わらず、あたしをずっと待っていてくれたおじさん。
ずっと心配してくれてた事が本当に嬉しかった。
『じゃあ、今から行くからね』
「あ、おじさん!言うの忘れてた!場所ね、さっき降ろして貰った工場じゃなくて、おじさんに教えて貰ったもう一つの工場なの!」
『え、お嬢ちゃん、そっちにいるのかい?よく分からないけど、じゃあそっちの工場に行くから少しだけ待っててね』
「うん!ありがとう!」
おじさんにそうお礼を言うと、終話ボタンに指を這わせ、プツンと押した。
「タクシー来てくれるって!」
携帯から顔を上げ、みんなにそう報告すると、
「……な、何?」
何故かみんな不思議そうな表情であたしを見ていた。
いや、不思議そうな表情と言うよりも、訝しげな、それでいて少しだけ苦笑混じりな、そんな複雑な表情。
何でそんな顔で見るんだろう?


