「……へへっ」
鳳皇のこういう所が好き。
事が済めばその後は根に持ったりせず、まるで敵対していたのが嘘みたいに接する。
もう害はないと、反省していると分かっているからそれ以上は何も言わないし何もしない。
あたしがこんなにも違和感なく普通に接せれるのも、皆がそんな空気を作ってくれているから。
その思いやりに心が温かくなる。
ずっとその温もりに包まれていたいと思う。
ずっとずっと皆と一緒にいたいと思う。
「りーのー!行くぞ!」
もう、離れない。
「うんっ!」
──絶対に。
「中田、家何処なの?」
彼方と壱さんに手を貸して貰いながら歩いている中田にそう問いかけると、
「いや、俺は此処でいい」
中田は首を横に振ってそう応えた。
「え、なんで?」
予想外の返事に首を傾げる。
「お前等にそこまでしてもらうつもりはない」
「してもらうつもりはないって、じゃあどうやって帰る気なの?」
数時間前まで仲間だった奴等はもう此処にはいない。
帰ろうにも帰る手段がないんだ。
それを知っているからあたし達が送るって言ってるのに。


