「イチャイチャは帰ってからしてくれますかー」
「イッ!?」
イチャイチャって…。
煌の冷めた視線とは反対に、それこそ爆発したようにボンッと顔が熱くなって。
急に人前に居るのが恥ずかしくなって、隣にいた壱さんの背中にサッと身を隠した。
それが気に入らなかったのか、十夜はあたしの腕を引き寄せたかと思うと、頬っぺたを左右に引っ張った。
「痛いー!煌!」
「オイ、そろそろ帰らねぇとヤベェぞ」
って助けてよ!
こっちを見向きもせずポケットから携帯を取り出す煌。
そんな煌を恨めしげに睨みつけると、バシンと一発叩いてやった。
それでも無視を決め込む煌に変な対抗心が芽生えた時、
「十夜、凛音ちゃんが可哀相だよ」
キラキラ天使壱様が助けに来てくれた。
「壱さぁーん!」
やっぱり頼りになるのは壱さんだよね!
壱さんに助けを求めるように両手が宙をさ迷う。
「……チッ」
それを見たからなのか、それとも壱さんに言われたからなのか。
どちらか分からないけど十夜が頬っぺたを離してくれた。
やっぱり十夜は壱さんに弱い。
それを分かっているのか、壱さんに目を向けると壱さんは意味ありげに微笑んでくれた。
さすが壱さん。素敵。
「──オイ、行くぞ。……彼方、壱、中田を頼む」
うっとりと壱さんを見ていると、耳に入ってきたのは天敵煌の声。
振り向くと、彼方と壱さんが中田に近寄って行くのが見えた。
どうやら中田を送って行くらしい。


