「おーい!何終わった気でいるんだよ!凛音よりこっちの方が問題だっつーの!」
こっちの方が問題?
陽の言葉に首を傾げながら壱さんと同時に振り向くと……。
あらま。
視線の先には、ガクガクと超震えている彼方の姿があった。
あれ、大丈夫かな。
いや、大丈夫じゃないか。
「彼方ー早く来ーい!!」
「無理っ!」
「無理じゃないってば!早くしないと日が暮れるって言ったの彼方でしょ!?」
「そんな事言われても無理なもんは無理!」
「へタレー!」
「り、凛音ちゃん」
彼方に向かって右手をブンブン振り回すあたしを見て、壱さんがまあまあと宥めにくる。
ったくもう!
「彼方!あたしが受け止めてあげるから早く!」
そう言って、彼方に向けて大きく両手を広げる。
これ以上言い合いをしててもしょうがない。
こうなったらこの身を捧げてでもいいから跳ばさなければ。
「と、跳んだらぎゅーってしてくれる!?」
「するする!だから早く!」
もうこうなったらヤケクソだ。
跳ばせるだけ跳ばせればあとはどうにでもなるでしょ。
「じゃあ頑張るー!だからぎゅー──」
「いいから早く跳べー!!」
長引きそうな彼方の言葉を無理矢理遮り、早く跳べ!とジェスチャーを送る。
それを見た彼方は不満そうに顔を歪めたけど、ぎゅー作戦が効いているのか渋々だけど素直にあたしの言葉に従った。


