Ri.Night Ⅳ



「おーい!何終わった気でいるんだよ!凛音よりこっちの方が問題だっつーの!」


こっちの方が問題?


陽の言葉に首を傾げながら壱さんと同時に振り向くと……。


あらま。


視線の先には、ガクガクと超震えている彼方の姿があった。


あれ、大丈夫かな。

いや、大丈夫じゃないか。



「彼方ー早く来ーい!!」


「無理っ!」


「無理じゃないってば!早くしないと日が暮れるって言ったの彼方でしょ!?」


「そんな事言われても無理なもんは無理!」


「へタレー!」


「り、凛音ちゃん」


彼方に向かって右手をブンブン振り回すあたしを見て、壱さんがまあまあと宥めにくる。


ったくもう!


「彼方!あたしが受け止めてあげるから早く!」


そう言って、彼方に向けて大きく両手を広げる。


これ以上言い合いをしててもしょうがない。


こうなったらこの身を捧げてでもいいから跳ばさなければ。



「と、跳んだらぎゅーってしてくれる!?」


「するする!だから早く!」



もうこうなったらヤケクソだ。


跳ばせるだけ跳ばせればあとはどうにでもなるでしょ。



「じゃあ頑張るー!だからぎゅー──」


「いいから早く跳べー!!」



長引きそうな彼方の言葉を無理矢理遮り、早く跳べ!とジェスチャーを送る。


それを見た彼方は不満そうに顔を歪めたけど、ぎゅー作戦が効いているのか渋々だけど素直にあたしの言葉に従った。