Ri.Night Ⅳ



昼間走った道を逆走し、“例”の男達を撒いた場所へと到着。


そこで彼方が一言。



「りっちゃん、まさか……」


「うん、そのまさかですよ、彼方サン」



やっぱり言うと思った。


彼方の顔を窺うと……うん。苦笑なんてモンじゃないね。

顔引きつってるし。



「駄目」


「へ?」


不意に聞こえてきた壱さんの声にコテンと首を傾げる。


「壱さん?」


「凛音ちゃんに危険な真似なんてさせられないよ」


「いや、でも……」



来る時に跳んだし。今更って言えば今更なんだけど……。



「駄目駄目駄目。落ちたらどうするの!」


「でも跳ばないと扉開けれないよ?」


「俺等で行ってくるから凛音ちゃんは引き返して。ね?」


「じゃあ俺とりっちゃんは戻──」


「えー。あたしも行きたいー。壱さん!お願い!」


「りっちゃーん!」


「ヘタレは黙ってて!」


「……」



ピシャリ、一喝すると、彼方は本当にヘタレてしまった。


一人しゃがんで「ヘタレって言わなくても…」とぶつくさ言っている。


ヘタレ彼方は放っておこう。


それよりも。


「壱さぁーん、お願い!」


壱さんを説得する方が大事だ。