Ri.Night Ⅳ


────…


「凛音ちゃん!大丈夫だった?」


「壱さん!うん、大丈夫だったよ!それより壱さん達の方が……って何で壱さんと彼方白いの?」



駆け寄って来た壱さんを見ると、何故か所々白かった。

ポンポンと払ってあげる。


これって……。



「粉?」



指先には白い粉。


なんで粉?



「お前、ニオイを嗅ぐな、ニオイを」


「ちょ……!何すんのよ煌!」



上から頭を押さえるもんだから粉が鼻についた。


キッと煌を睨みつけると、ゴシゴシと手首で鼻を擦る。



「ちょっとさっきね、アイツ等に消火器吹きかけられちゃって……」


「へ?消火器?」



苦笑する壱さんに目を見開く。



「そうそう。正面からまともだよまとも。眼鏡かけてなくて良かったー」


「……ぷっ。今眼鏡真っ白になったとこ想像しちゃった」



ポケットから眼鏡を取り出した彼方を見て陽がププッと吹き出す。


そんな陽に「このお猿~」と言いながら頭をグリグリしに行く彼方。


この二人は緊張感というものがないのだろうか。


二人を見て「はぁ…」と深い溜め息を零す。



「煌、出口はないのか?」



騒がしい二人とは反対にどこまでもマイペースな十夜さん。



「ないよ。あるのは二階の窓だけだ」



壱さん?


十夜の問いかけに応えたのは、さっきとは正反対とも言える程真剣な表情をした壱さんだった。