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「凛音ちゃん!大丈夫だった?」
「壱さん!うん、大丈夫だったよ!それより壱さん達の方が……って何で壱さんと彼方白いの?」
駆け寄って来た壱さんを見ると、何故か所々白かった。
ポンポンと払ってあげる。
これって……。
「粉?」
指先には白い粉。
なんで粉?
「お前、ニオイを嗅ぐな、ニオイを」
「ちょ……!何すんのよ煌!」
上から頭を押さえるもんだから粉が鼻についた。
キッと煌を睨みつけると、ゴシゴシと手首で鼻を擦る。
「ちょっとさっきね、アイツ等に消火器吹きかけられちゃって……」
「へ?消火器?」
苦笑する壱さんに目を見開く。
「そうそう。正面からまともだよまとも。眼鏡かけてなくて良かったー」
「……ぷっ。今眼鏡真っ白になったとこ想像しちゃった」
ポケットから眼鏡を取り出した彼方を見て陽がププッと吹き出す。
そんな陽に「このお猿~」と言いながら頭をグリグリしに行く彼方。
この二人は緊張感というものがないのだろうか。
二人を見て「はぁ…」と深い溜め息を零す。
「煌、出口はないのか?」
騒がしい二人とは反対にどこまでもマイペースな十夜さん。
「ないよ。あるのは二階の窓だけだ」
壱さん?
十夜の問いかけに応えたのは、さっきとは正反対とも言える程真剣な表情をした壱さんだった。


