『だーかーら!閉じ込められちゃったんだってば!!』
『……凛音、お前が出るとややこしくなる』
「オイ、十夜どういう事だよ」
ぎゃあぎゃあうるさい凛音をフル無視して、怪訝な表情でそう十夜に問いかける。
『俺と凛音が外に出ようとした時、外から扉を閉められた』
「……は?マジかよ……」
十夜の言葉を聞いて項垂れるようにこめかみを押さえる煌。
一方、他の三人は言葉を失っていて。その表情は険しい。
四人は窓が塞がれた事に対してあまり重要視していなかった。
それは入ってきた倉庫から出れると思っていたから。
けど、その倉庫も塞がれたとなると厄介なことになる。
『オイ』
「こっちもだ」
『なに?』
「こっちも塞がれた。窓も扉も全てな」
『ちょ、ちょっと!じゃあどうやって出るの!?』
『凛音』
『ゥグッ!』
『取り敢えずこっちに戻って来い』
「……あぁ、分かった」
煌は返事をすると早々と電話を切り、ポケットに携帯を突っ込んだ。
そして、
「戻るぞ」
そう言うと、苛立ちをぶつけるように足音を立てながら階段を上り始めた。
その後に続く三人。
吹き抜けから射し込む光りとは反対に、冷たく響く幾つもの足音。
妙な静けさが四人を纏い、放たれる。
苛立っているのは煌だけではなかった。
他の三人も嵌められた事に対して怒りを感じている。
三人を纏う空気と流れる沈黙がそれを物語っていた。
「流石に二階は塞がれてねぇな」
「飛び降りるとは思ってなかったんじゃねぇの?」
「だろうな」
彼方と煌が淡々と言葉を交わす傍らで、一人窓を開けて下を見下ろす者がいた。


