「サンキュー。っていうか奴等は!?」


「視界が悪くて何も見えねぇ」


「チッ。やられた!」


長い間噴射されていたせいか、霧が濃すぎて何も見えない。

焦りが募る四人。



「取り敢えず突っ込もう」


三人は壱の言葉に頷くと、迷いなくその霧に突っ込んだ。


「……チッ、いねぇ」


霧は数メートル続き、四人が霧から出た頃にはもうDの姿は何処にも見当たらなかった。



「壱と陽は向こうを頼む」


「分かった」


陽と壱、煌と彼方に分かれてDを捜す。





「煌、あそこにドアがある!」


Dを捜しに行った壱が廊下の角から顔を覗かせた。


煌と彼方が駆け寄って行くとドアの前には陽がいて、ドアノブをガチャガチャと回したり押したりしていた。


けど、一向に開きそうにはない。



「ムキィー!やっぱ開かねぇー!!」


「陽、無駄だ。表から封じられてる」


「くっそー!ムカツク!!」



陽は力任せにドアを叩いた。



「もう少しで捕まえられたのに」


「仕方ないよ。それにしてもまさか消火器が出てくるとはね」


「……壱、なんか怖ぇんだけど……」


殴ったり蹴ったりしていた陽が壱のにこやかな微笑みを見てピタリと動きを止めた。