「陽……!!」


階段を降りてきた三人が陽の元に駆け寄った。



「……チッ、行くぞ」



「彼方、壱!」


「分かった!」



逃げようとするDを見て、煌が彼方と壱に目配せをする。


それに頷いた二人は陽の横を通り過ぎ、Dを追いかけた。


Dは二人に任せ、煌は追いかけようとする陽の首根っこをガシッと掴む。



「こんの馬鹿猿!危ねぇ事すんな!」


「い゙でっ!ごめんってば!」


煌のゲンコツが陽の頭頂部にヒット。



「……ったく、次したら十夜に言いつけんぞ」


「え゙、それはヤダッ!」


「なら次はすんな」


「……はーい」


「ホラ、行くぞ。奴等を仕留める」


「アイアイサー!」



右手拳を高く突き上げた陽を見て、「ホントに分かってんのかよ……」と深い溜め息を吐き出す煌。







「……チッ、アイツ等速すぎんだろ」


一方、Dを追いかけている壱と彼方は、一向に縮まらない距離に苛立ちを感じ始めていた。


このままでは逃げられてしまう。


そう思った時、彼方は廊下に置いてある棚で“ある物”を見つけた。


それは機械の部品らしきもの。


「壱!」


彼方はそれを数個手に取ると、一つ壱に投げ渡した。


「OK!」


それを受け取った壱はすぐに構え、Dに向かって投げる。


「──ッ!」


壱の投げた部品は一番後ろの男の足首に直撃し、男はバランスを崩してその場に倒れた。


彼方も同様、逃げていく二人に向かって部品を投げる。


それも見事男の足首に命中。



「さっすが俺!」


前屈みに倒れていく男を見て彼方は思わずガッツポーズ。


二人は直ぐ様男達に駆け寄り、その身体を起こした。



「………クッ」



だが、それは男の罠で。彼方が掴みかかるのと同時に男の膝が彼方の腹部にめり込んだ。