「……って事で、お前等、大人しく俺等に殺られな」



煌の声と共にポキポキと骨が鳴る音が聞こえたかと思うと、



「──仕留めろ」



十夜の口から“捕獲開始”の合図が言い放たれた。



「了ー解」



その合図と共に一斉に走り出す煌達。





「……チッ」


それを見た男達は揃って手摺りから離れ、逃げるようにロフトの奥へと走っていく。



「みんな……っ!」


「アイツ等なら大丈夫だ。あそこはロフト、逃げられはしない」



煌達を追いかけようと足を踏み出すと、十夜に強く手を引かれた。



「……そっか、そうだよね」



十夜の言う通りだ。


あそこはロフト。

出入口などない。


逃げたところで袋の鼠だ。



──そう、思っていたのに。




「あのロフトには奥にもう一つ扉がある」


蹲っている中田から、突如衝撃発言が飛び出した。



「……奥に、もう一つ扉?」



まさか……。



「そうだ。ここは倉庫だからな。二階は隣にある工場と繋がってる」


「工場?」



そうだ。

中田の言葉で思い出した。


あたし、“そこ”からこの倉庫へ来たんだった。


と言うか、適当に歩いているとたまたま階段を見つけたんだよね。


階段を下りていくと古びた扉が幾つか並んでいて、適当に扉を開けるとこの倉庫の廊下みたいな所に辿り着いた。


という事は、中田の言った通りこの倉庫は隣の工場と繋がっている事になる。



「じゃあ……」


「そうだ。アイツ等は隣の工場から出るつもりだ」


「……っ、十夜!」


「あぁ」



弾かれたように十夜を見上げると、十夜はあたしの言いたいことが解っているのかコクンと小さく頷いた。