そうだ。ここで挑発に乗ったらアイツ等の思うツボだ。
冷静にならないといけない。
これ以上、アイツ等の好きにさせる訳にはいかないから。
「──今は勝てるとは思ってねぇさ。けどな、“ココ”を使えば何とでもなる」
そう言って、男が“ココ”と人指し指で示したのは“頭”。
「今日騙してくれたアンタの兄貴みたいにな」
貴兄に騙された事を相当根に持っているのだろう。
頭上から感じる視線は突き刺すように鋭い。
けれど、その視線でさえもこの人達には何の効き目もなかった。
「ふーん?じゃあそのご自慢の頭を使わせないようにしたらいいんじゃね?」
片目を細め、悪戯小僧のようにニッと笑う陽。
「……へぇ。陽にしてはいい事言うねぇ」
フフッと意味ありげに笑い、トレードマークの眼鏡を外す彼方。
「俺としては二度と顔を見たくないから、出来れば今日消えて欲しいんだけどね」
……何故か一番キレてらっしゃる壱さん。
笑顔なんだけど。
物凄く爽やかな笑顔なんだけど……。
「早く終わらせて帰ろうね、凛音ちゃん」
「……うん」
これって絶対堕天使壱様が降臨してますよね。