「何でテメェ等が鳳皇と獅鷹を狙う!?」
男達に向かって叫んだのは煌だった。
納得がいかない。
そんな声色。
当然だろう。
中田に狙われているのならまだ分かる。長い間争ってきた相手だから。
けど、コイツ等は違う。
その正体すらハッキリと分かっていない“D”が鳳皇、獅鷹と関係があるとは思えない。
それとも、今回の事で恨みを持ったというのだろうか。
それならまだ納得がいく。奴等は獅鷹、いや、貴兄に騙されたのだから。
両チームに仕返ししようと思うのは当然の事なのかもしれない。
けど、そんな無謀とも言えること本当にするのだろうか。
色んな憶測が脳内を飛び交う中、男がおもむろに口を開いた。
「殺られた恨み?」
「………っ」
やっぱり。
男から放たれた言葉は思っていた通りの言葉だった。
コイツ等は今回の事で両チームに恨みを持ったんだ。だから潰そうと思った。
「お前等が鳳皇と獅鷹に勝てるとでも?」
余裕綽々とも言えるその声は、いつの間にか隣に来ていた十夜のもの。
振り向くと、十夜は鋭い眼差しで二階を睨みつけていた。
それと同時に、優しく包み込まれる右手。
十夜……。
手から伝わる十夜の温もりに強く握り締めていた拳が徐々にほどけていく。
十夜はその事に気付いたのか、あたしの指に自分の指を絡ませた。
最後には繋がれるカタチとなり、ギュッと強く握り締められる。
その締め付けに高ぶっていた気持ちが徐々に落ち着いていくのが分かった。


