いつの間に……。
全然気付かなかった。
「みんな……っ!」
走り出す前、あたしの肩や頭をポンッと軽く叩いていく煌達。
それはまるで『待ってろ』と言っているようで。
十夜達ならアイツ等を倒してくれる。
そう確信した。
けど、
「引け!!」
そう簡単にはいかなかった。
あと数メートル、という所で突然倉庫内に響いた男の声。
その声に中田を攻撃していた男達がピタリと手を止めた、十夜達とは反対の方向へと走っていってしまった。
なんとも素早いその行動に十夜達は追っても無駄だと悟ったのか、その場で足を止める。
「──まさかお前等が中田を助けようとするとはな」
聞こえてきたのは先程とは違い低く落ち着いた声。
けれど、その姿がどこにも見えない。
走り去っていった男達もいつの間にか扉の向こうへと消えていった、この声は一体どこから?
そう思った時、倉庫の二階に一つの影が現れた。
「……っ、アンタ、一体誰!?」
この倉庫は奥側の三分の一がロフトになっていて、吹き抜けに面した所は手摺りになっている。
男はその手摺りに両手をつき、あたし達を見下ろしていた。
薄暗がりのせいなのか。
それともキャップを被っているせいなのか。
その顔を拝もうにも此処からではハッキリと見えない。


