中田の表情からは偽りを感じない。
となると、中田は真実を告げているということになる。
「じゃあ……」
呟く様に言葉を発したあたしを見て、中田が嬉しそうに口角を上げた。
「さっきも言っただろう?獅鷹と組めたのは凛音、お前のお陰だと」
「……どういう、意味?」
何度聞いてもその言葉が理解出来ない。
あたしが何をしたと言うの?
「──いや、感謝するのは凛音の元へ来た宮原に、か」
──え?
「順を追って説明しようか」
中田はそう言うと、小さく笑みを零しながら一度扉から身体を離した。
そして少しだけ体勢を変え、再び扉へと左肩を預ける。
室内の光のお陰でハッキリと見える中田の姿。
それとは反対に薄暗がりの中踞っているあたし。
今は扉から洩れる光に照らされているが、数歩離れればたちまち暗がりに覆われるだろう。
光と闇。
それはまるで互いの心を表しているかの様で。
……情けない。
思わず心の中で笑ってしまった。
──光。
中田からすれば今の状況はさぞかし愉快な事だろう。
貴兄を味方につけたんだ。鳳皇なんて最早敵ではないと思ってる筈。
いや、思ってるんだ。
「──そんなに睨まなくてもちゃんと教えてやるよ」
言葉を発する度、ユルリと上げられる口角がそう言っている。
この抗争は俺の勝ちだ、と。


