Ri.Night Ⅳ


中田の表情からは偽りを感じない。


となると、中田は真実を告げているということになる。



「じゃあ……」


呟く様に言葉を発したあたしを見て、中田が嬉しそうに口角を上げた。



「さっきも言っただろう?獅鷹と組めたのは凛音、お前のお陰だと」


「……どういう、意味?」


何度聞いてもその言葉が理解出来ない。


あたしが何をしたと言うの?



「──いや、感謝するのは凛音の元へ来た宮原に、か」



──え?



「順を追って説明しようか」


中田はそう言うと、小さく笑みを零しながら一度扉から身体を離した。


そして少しだけ体勢を変え、再び扉へと左肩を預ける。



室内の光のお陰でハッキリと見える中田の姿。


それとは反対に薄暗がりの中踞っているあたし。


今は扉から洩れる光に照らされているが、数歩離れればたちまち暗がりに覆われるだろう。


光と闇。


それはまるで互いの心を表しているかの様で。


……情けない。


思わず心の中で笑ってしまった。



──光。


中田からすれば今の状況はさぞかし愉快な事だろう。


貴兄を味方につけたんだ。鳳皇なんて最早敵ではないと思ってる筈。


いや、思ってるんだ。



「──そんなに睨まなくてもちゃんと教えてやるよ」



言葉を発する度、ユルリと上げられる口角がそう言っている。


この抗争は俺の勝ちだ、と。