Ri.Night Ⅳ



「中田──」


「……っ、来るなっ!」


「……っ!」



走り出そうとした時、男達の中から苦しげな叫び声が聞こえた。


それは紛れもなく中田の声で。



「中田……!!」



その声に向かって思いっきり叫ぶ。


と同時に、一度止めた足を再び前へと出た。



「お前は行くな」



けど、それは左肩に置かれた手によって簡単に阻止された。



「十夜……!」


振り返ると、そこにいたのは十夜で。


直ぐ様その胸元にしがみつく。



「十夜、中田が……!」


「分かってる。お前はここに居ろ」



そう言った十夜はあたしの頭に手を乗せ、男達の方へと目を向けた。


瞬間、色を変える十夜の瞳。


漆黒の中に一筋の光が差し込んで。


鋭く、射るような視線が男達に突き刺さる。



それを感じ取ったのか、中田を足蹴にしていた男が一人、こちらを振り返った。


その男は十夜を見るや否や後退し、今の今まで嬉々としていた表情を一変させる。


そんな顔をしてももう遅い。



「行くぞ」



十夜は男と目が合った時にはもう、男達に向かって走り出していたのだから。


いや、十夜だけではない。



「お前は来んじゃねぇぞ」



煌達も既に真後ろにいた。