中田を取り囲む十数人の男達。
考えなくても奴等が“何”をしているのかすぐに理解出来た。
「……っ、お前、何で来たっ……!?」
叫び声に気付いた中田がこちらを振り返り、顔を歪ませる。
その一瞬の隙を男達は見逃さなかった。
「中田!!」
チャンスとばかりに中田に襲いかかる男達。
「チッ……」
中田はそれを交わそうとするけど数が多すぎて追いつかない。
息つく暇も無く次々と飛んでくる拳に唇を噛み締めながらも交わしていく。
けど、交わしても交わしても男達の攻撃は止まる事はなく。
最早、中田に攻撃する暇など無いに等しかった。
そんな事を繰り返している内に、男達の拳が次第に中田をとらえ始める。
「中田!!」
顔、腹部、足。
四方八方から繰り出される拳や蹴りに、中田の足が徐々にふらつき始める。
だが、止まる事を知らないその攻撃に中田は地面に倒れる事さえ出来ない。
ほぼサウンドバック状態の中田。
いくらボクシングをしていると言っても、この人数を相手にするにはやはり無理がある。
このままでは殺られてしまう。
「中田……!」
加勢しなければ。
そう思って、足を一歩前へ踏み出した。
──本当なら、さっきまで敵だった中田を助けるのはおかしいのかもしれない。
けど、あたしにとったらそんな事関係なかった。
“今”は敵じゃない。
だから助ける。


