「さ、帰ろっか!」


くるりと振り返り、皆に向けて二カッと笑うと、陽が同じように笑い返してくれた。


「凛音、手、繋ごうぜ!」

「うん!」


差し出された手をギュッと強く握り締め、「行こう!」と足を踏み出す。


……と、その時。


「りっちゃんー、俺も手繋ぎてぇなー」


左横にいた彼方がトントンと肩を叩いてきた。


振り向くと、彼方は機嫌を窺うかのような表情であたしを見下ろしていて。


そのままスッと視線を落せば、胸元には握りしめられた両手があった。


しかもその手は左右に小さく揺れている。



「駄目?」



控え目なその言葉とは裏腹に、あたしを見る瞳はこれでもかって言うぐらい煌めいていて。


「んー、駄目」


けれど、そこはあたし。簡単には頷きません。


「やっぱ駄目かぁ……」


……と言いたいところだけど。



「ん」


今回だけは特別に素直になろうかな。



「……へ?」



差し出された左手を見てきょとんとする彼方。



「何?手、繋ぐんじゃないの?」



その馬鹿面にそう言って、呆れたように首を傾げてみせると、



「り、りっちゃぁぁぁぁん!!」


「ちょ、ちょっと手繋ぐんじゃないの!?抱き着いていいなんて一言も言ってないけど!」



目を輝かせた彼方に思いっきり飛びつかれた。