いつも貴兄の言葉には救われる。

思いやりのあるその言葉に救われる。


貴兄は凄い。


なんでそんなに心が広いんだろう。



「貴兄、ありがとう」



本当に、感謝してもしきれないよ。





「先に帰ってる」


いつもの様に優しい笑みを浮かべて踵を返す貴兄。


獅鷹幹部はスッと後ろに一歩下がると、貴兄に道を譲って当然のようにその後ろを着いていった。



……貴兄、ありがとう。

皆、ありがとう。


本当にありがとう。



心の中で視界に映る大切な人達に心の底からお礼を言う。


あたしの大切なお兄ちゃん達。

大好きなお兄ちゃん達。


皆が居なかったらきっとあたしはどん底にいた。


苦しくて哀しくて。


立ち上がれない程ツラい感情に支配されていた。


そんなあたしを皆は救ってくれたんだ。


……ありがとう。


皆、ありがとう……。








「──良い兄貴達だな」


「十夜……」


「本当だね。凛音ちゃんの事が大好きなんだって凄く伝わってくる」


「りっちゃん愛されてんなー」


「俺も凛音大好きー」



「みんな……」



あんなに獅鷹を目の敵にしていた十夜達が貴兄達を見て笑っていた。


穏やかな、優しい表情で。



それを見た瞬間、何とも言えない感情が込み上げてきた。


涙が溢れる。


今の今まで両チームが和解した事を信じられなかったけど、皆の笑顔を見てやっと実感が湧いてきた。


本当に和解したんだ。

獅鷹と鳳皇が和解した。


もう喧嘩をする事はない。


喧嘩、しないんだ。


そう思っただけで心が温かくなった。