「家って凛音の家?」


「……まぁ、そうなるな」



陽の問いかけに貴兄がフッと頬を緩める。


貴兄が笑うのも無理はない。


だって、陽の質問があまりにも可愛らしかったから。



陽くん、貴兄とあたしは兄弟なんだから同じ家なのは当たり前だよ。


思わず心の中でそうツッコむあたし。


っていうか、嵐ちゃん笑いすぎでしょ。



貴兄の斜め後ろにいる嵐ちゃんは顔を伏せ、肩を震わせて必死に笑いを堪えていた。


そんな嵐ちゃんを肘で小突いている時人くん。


まぁ、気持ちは分かるけど。





「貴兄、いいの?」


視線を戻し、控えめにそう問いかける。


だって、貴兄は今まで嵐ちゃん達以外に家を教えようとはしなかった。


それは仲間である獅鷹の下っ端くん達にもだ。



貴兄は慎重派。

自分に関する情報はリスクを最小限に抑える為、必要最低限の事しか教えない。


正体や家は本当に信用出来る人にしか教えないんだ。


それなのに──



「鳳皇はお前の仲間だろう?」


「貴兄……」


「俺からすればそれだけで信用出来る相手だ」


「……ありがとう。ありがとう貴兄」