同じだったからだ。
凛音に言われた言葉と同じだった。
『俺は今までの事を謝るつもりはない』
『あたしだって謝られても許す気なんかない』
「……フッ」
中田から笑みが零れる。
やっぱり兄弟だな。
目を伏せた中田は心の中でそう呟いた。
「直接言われなかったら、諦められなかったかもしれない」
目を開けた中田が再び貴音を見据える。
「………」
貴音は“何を?”とは聞かなかった。
解っていたからだ。
中田の言っている意味が。
中田の視線が凛音を捉える。
「あの“強さ”に惹かれた。仲間を想うあの“強さ”に。
そして、桐谷を想う“一途な心”に」
切なげに放たれた言葉はまるで凛音に向けられているかの様で。
貴音達はただ静かに聞く事しか出来ない。
「手に入れたかったんだ。あの瞳に映りたかった」
凛音本人に言えなかった想いを貴音達に向かって吐き出す。
それは、凛音に近い人間だと解っていたからだ。
本人に近い人間に言う事で未練を取り除きたかった。


