Ri.Night Ⅳ


裏事情を暴露し始めた中田を見て、貴兄が声を荒立てて制止する。


「尾行してたんだよ」


だけど、中田はその声が聞こえていないかの様に話し続けた。


「尾、行?」


自分の口から零れたのは、聞き取れない程小さな声。


あたしの言葉を聞いた貴兄は、あたし達からフイッと視線を逸らすと、クシャッと乱暴に前髪を掻き上げて苛立ちを露にした。



止めても無駄だと悟ったらしい。

逸らした視線は此方に戻ってくる事なく逸らされたままで。


そんな貴兄を横目で一瞥した中田は緩やかに口角を上げ、そのまま話しを続けた。



「お前と鳳皇が決別した日から、俺は鳳皇の動きを見張っていた」


「………」


「宮原は鳳皇に顔を出さなくなったんだよ」


「……え?」



陽が、顔を出さなくなった?



「凛音を引き止めなかった事が気に食わなかったんだろうな」


「………」


「宮原はお前に会いに行くまで一度も溜まり場には行かなかった」


陽……。


あの時の陽の表情が脳裏に浮かぶ。

あの、泣きそうな表情が。



「宮原が顔を出していないと知った時、予感がしたんだ」


「よか、ん……?」


「そう、予感。宮原が……凛音、お前の元へ行くかもしれないと」


「なっ……!」



中田の言葉に思わず目を見開いた。



予感。


たったそれだけで。

たったそれだけで陽を付け回していたの?



「……じゃあ、公園で陽と喧嘩していたのって、まさか……」