「嵐、凛音のおでこがへっこんだらどうするの」
「……時人くん」
嵐ちゃんを押し退けて目の前に姿を見せたのは苦笑している時人くん。
身を屈め、あたしのおでこを擦りながら穏やかに微笑む。
「凛音、僕達は凛音に笑ってて欲しいんだ。鳳皇に行って凛音がずっと笑顔でいれるのなら、僕達はそれでいい」
「時人、くん……」
また、涙が零れそうになった。
いつもいつもあたしの事を最優先にしてくれる皆。
あたしが鳳皇と一緒にいた事、皆も傷付いた筈なのに。
それなのに責めたりもせず、ずっと一緒にいてくれた。
ずっとずっと一緒にいてくれたんだ。
「……ありがとう。ありがとうっ!」
「お礼なら遊大に言ってあげてよ。遊大の説得がなかったら僕達は凛音を鳳皇へ戻してあげられなかったんだから」
……遊大?
時人くんが後ろを振り返り、それを追うと、遊大と目が合った。
「遊、大……!」
嗚咽混じりにそう呼ぶと、遊大は少し気恥ずかしそうに歩み寄ってきた。
「助け合うって約束しただろ?」
そう言って向けられたのはあの“約束のシルシ”。
“……お互いに、”
“助け合おう……”
あの時誓い合った、小指の約束。


