「……っ」
その言葉に思考が完全にストップした。
けれど、それはほんの一瞬で。
直ぐ様その意味を理解したあたしは貴兄へと視線を戻した。
真剣な表情で真っ直ぐ十夜達を見据えている貴兄。
その表情は今の言葉が冗談ではない事を表していた。
「貴兄……?」
恐る恐る呼び掛けてみると、貴兄は再度あたしを見下ろし、困ったように微笑んだ。
「これは“今”決めた事じゃない。この抗争が始まる前にはもう決まっていたんだ」
「……決まってた?」
「あぁ。獅鷹幹部全員で話し合って決めた。
けど、最終決定はお前の言葉を聞いてから決めようと思ったんだ」
「あたしの……?」
だから正直な気持ちを言えって言ったの?
あたしの気持ちを確かめてから決めようと思った?
「貴兄……」
「……そんな顔すんな。俺が言えって言ったんだ。お前は気にしなくていい」
「でも……」
「いいっつってんだからいいんだよ」
「……っ、嵐ちゃん?」
呆れたような声が聞こえ たかと思うと、いきなり右方から右手が現れ、ガシッと頭を掴まれた。
わしゃわしゃと掻き回され、頭が揺れる。
「ちょ、嵐ちゃ……!」
「俺等に遠慮するんじゃねぇよ。お前は鳳皇に戻りてぇんだろ?
さっきの言葉、今更嘘でしたとか言うんじゃねぇよな?」
「嘘なんかじゃ……」
「じゃあいいだろ。俺等がいいって言ってんだ。お前は素直に返事すりゃいいんだよ」
「いたっ……!」
おでこにデコピンが飛んできて、あまりの痛さにおでこを押さえた。


