「舞……」

 舞は自らの描いた絵のまえで、身を堅くして座り込んでいた。

 どんなに足掻いても、もう介弥と仲良くなんて話せない。

 ただの同級生として、側にいるなんて耐えられない。

 仲のいい従姉弟にも戻れない。

 お母さんと和解もできない。

 だって、介弥のことを忘れるなんてできないし。

 あのときのことを、謝りたいとは思わないから。

 だって、好きなんだもの。

 介弥以外の誰も好きになんかなれないんだもの。

 あのとき、介弥の側にいた男の子、今でも、介弥の親友だが、彼にも告白された。

 だけど、まったく心は動じなかった。

 介弥もそれがわかっているかのように、彼が告白するのを黙って見ていた。

 ねえ、介弥。このまま進んでいっても、わたしたちに未来なんてない。

 誰もわたしたちを救ってなんてくれないのに……どうしてっ。

 どうして貴方のことしか考えられないんだろう。

 舞はあの日したように、床のタイルに爪を立てる。

 ぐっと堪えるような仕草に、介弥の手が重なった。