落日の楽園(エデン)

 


 
「舞、先にお風呂入っちゃって」

 軽く返事をしながら、舞は脱衣所の鍵を閉めた。

 家族しかいないのに、馬鹿な子ね、と義母涼子(りょうこ)は言ったが、舞にとっては、それは絶対のことだった。

 特に春日の家から帰った後は―

 衣服を脱ぎ捨てた舞は、鏡にその裸体を映してみた。

 まだ幼さの残る体に残された罪の刻印。

 介弥といるときは、忘れられそうだった罪の意識が舞を搦めとりそうになる。

 こつり、と鏡にその小さな額をぶつける。

 怖くないの?

 介弥は怖くないの?

 自分の前で、彼はそんな素振りを見せたことはなかった。

 だけど、怖くないはずがなかった。

 誰よりも正義感が強くて、素直な介弥。

 自分が彼を汚しているような気がして、舞の気分は暗く澱んだ。

 彼と会っていない間は、こうして考え込んでいることが多くなっていた。

 それでも、会わずにいられない。