ルルー工房の月曜の午後




自分より頭一つは大柄な男を見上げて、リュカはけれど、怖気付くことなく睨み返す。



「何だ、その目は。おまえ、俺たちがはしごを貸してやった恩を仇で返しておいて、まだ文句があるってぇのか」



「今回のことは君が親方を侮辱した、その仕返しだ」



リュカの言葉が思いがけなかったのか、男のつり上がった眉がピク、と動いた。



「技術ばっかり鼻にかけて、だとか。あんなもの芸術とは言わない、とか……。はしごのひびなんて、下手したらはしごが壊れて落ちて死ぬかもしれないのに、なのに、ゲラゲラ笑って」



ブルブルと、リュカの握り込んだ右の拳が震えるのが見えた。



「それが許せなかった」



拳とともに、声も震えていた。

――陽だまりのように穏やかなリュカが、こんなに怒っているところを初めて見た。



そう思って、違う、と気づいた。



初めてではないはずだ。

あのときに見たはずだ。

――はしごを借りにきた、あのときに。



すべての表情を消し去ったかのような、リュカの顔を。