ルルー工房の月曜の午後




「そうか」



すぐ隣から聞こえた低い声に、ベルは顔を上げた。


いつも気難しい顔をしたエドガーが、ほんのすこし、いつもよりも目を細めてルイを見ていた。



「……実際、そうなんだろう。こっちもベルがひびに気づいて、なんともなかったんだ。どうか、気にしないでくれ」



エドガーの言葉に、ルイは頷く。

エドガーの言葉は本心だと、ベルにはわかる。

そして、きっとルイもそれをわかっていることも、わかる。――けれど。



けれど、きっとルイはもう、ルルー工房には来ない。


ルイの、やけに静かな表情がそれを物語っていた。



――こんなのって、ない。



「ルイ、あの」


「あのさ、ルイ」



何か言わなければ。

衝動で呼びかけたベルは、けれど重なった声に言葉を止めた。



声を上げたのはリュカだった。



「ルイは、俺たちに会わせる顔がないとか、そんなふうに思ってるんだと思うんだ。けど俺、そんなの嫌だよ。

ルイはこれからだって、うちに気軽に遊びに来ればいい。……ルイが、俺を許してくれるなら、だけど」