「あ? ルイ、おまえどっちの味方だよ!」
「どっちとか、そんなのないだろ。とりあえず落ち着いて、レイエさんが帰ってくるのを待とうよ」
必死になだめようとするルイに、徒弟は侮蔑もあらわに顔を歪めた。
「善人ぶりやがって。元はと言えば、てめぇがルルーのはしご壊したからだろうが!」
つまりこの男は、ルイがルルー工房のはしごに傷を入れたから、ルルー工房が仕返しに祭壇画を盗んだと思っているらしい。
――そんなこと、あるわけないのに。
堪えきれなくなって、ベルが口を開いたとき。
「知らないから、そんなふうに思うんだろうね」
思いのほか穏やかなルイの声に、ベルは言葉をのみこんだ。
「はしごは関係ない。たとえ俺がルルー工房のはしごを壊したんだとしても、この人たちは絶対、祭壇画を盗んだりなんてしない。そういう人たちだって、知ってる」



