ルルー工房の月曜の午後




作業場は静まり返っていた。


けれど、むき出しの敵意は罵声よりも鋭く肌に刺さった。


底冷えのする静けさの中、エドガーの低い声が響く。



「やけに騒がしいが、何かあったのか」



声はたしか、祭壇画を盗んだ、と言っていた。



ベルは作業場を見渡した。


全員で何かを探しまわったように作業場はごちゃごちゃと散らかっている。


徒弟たちは皆ほこりまみれだ。



「とぼけるな! おまえらが祭壇画を盗んだんだろ!」



一番手前にいた徒弟の一人が怒鳴った。



「祭壇画? なくなったのか。まさか、サン・マテュー教会の……」



「あぁそうだよ! どうせてめぇらがやったんだろ!」



一方的に怒鳴りつける徒弟に、「ちょっとあんたさ、」と、ジルが一歩進み出る。



しかし、それよりも一瞬早く。



「やめなよ、証拠もないのにそんなふうに怒鳴りつけるの」



人だかりの一番うしろから、声を震わせて言ったのはルイだった。