「――きっとルルー工房がやったに違いねぇ!」
そんな怒鳴り声が聞こえて、ベルもエドガーも、歩みを止めた。
気がつくとレイエ工房の前まで来ていた。
そして、その声はレイエ工房の作業場から聞こえた。
「ルルーの奴らが祭壇画を盗んだんだ!」
中から響いた物騒な言葉に、ベルもエドガーも、怪訝な顔をする。
エドガーは「おまえたちはここで待ってろ」と言うと、はしごをジルとリュカに預け、レイエ工房の作業場に入っていった。
「待って……なんて」
そんなことできるわけがない。
どう聞いても殺気立っていたレイエの徒弟たちの声を、たしかに聞いたのだ。
エドガー一人で行かせるわけにはいかない。
ベルは手に持った包みをぎゅっと抱えて、ジルの制止も聞かず、エドガーの後を追った。
結局は心配だったのだろう。
ベルにつられて、ジルもはしごをレイエ工房の壁に立てかけると、作業場に入ってくる。
その後ろから、強張った顔のリュカが続いた。



