ルルー工房の月曜の午後




「だから、リュカ……」



「やだなぁ、ベル」



言葉をつなごうとするベルを遮って、リュカは言った。



「そんなのわかってるよ、大丈夫」



リュカはいつもと同じ、柔らかな笑みを浮かべる。


それを見て、ベルはほっと胸を撫で下ろした。



心配のしすぎだっただろうか。


そう思って、ベルは苦笑した。


工房どうしはライバルでも、リュカとジルとルイの三人が、そんなことには構わずに仲良くしているのが好きだった。


その関係が壊れてしまうのが怖くて、つい説教じみたことを言ってしまったが、いらない心配だったようだ。



大丈夫。

ベルはそう、自分に言い聞かせる。


レイエ工房の徒弟たちの言ったことはただの勘違いで、ルイは何もしていなくて、これからもルイとルルー工房の関係は変わらない。


きっとそう。大丈夫。



そう思うのに。


――どうしてこれほど胸騒ぎがするのか、このときのベルにはわからなかった。