「だから、リュカ……」
「やだなぁ、ベル」
言葉をつなごうとするベルを遮って、リュカは言った。
「そんなのわかってるよ、大丈夫」
リュカはいつもと同じ、柔らかな笑みを浮かべる。
それを見て、ベルはほっと胸を撫で下ろした。
心配のしすぎだっただろうか。
そう思って、ベルは苦笑した。
工房どうしはライバルでも、リュカとジルとルイの三人が、そんなことには構わずに仲良くしているのが好きだった。
その関係が壊れてしまうのが怖くて、つい説教じみたことを言ってしまったが、いらない心配だったようだ。
大丈夫。
ベルはそう、自分に言い聞かせる。
レイエ工房の徒弟たちの言ったことはただの勘違いで、ルイは何もしていなくて、これからもルイとルルー工房の関係は変わらない。
きっとそう。大丈夫。
そう思うのに。
――どうしてこれほど胸騒ぎがするのか、このときのベルにはわからなかった。



