ルルー工房の月曜の午後




そして――息をのんだ。



見たこともないような顔をしていた。


怒りとも悲しみとも違う。


いやに静かな、暗い顔。



いつも朗らかなリュカの、そんな顔を初めて見た。



「リュカ、戻ろう」



これ以上、聞かせてはいけない。


そう思って、ベルはリュカの手を引く。


意外にリュカは素直について来て、二人は足音をひそめて倉庫に戻った。



沈黙。倉庫に戻ってしまえば、徒弟たちの話し声はすこしも聞こえなくなった。


さっきのことは夢だったのかと思えるほどの静けさ。

遠くに街の喧騒が聞こえる。



「リュカ、あのさ」



沈黙に耐えられなくなって、ベルは言った。



「はしごのひび、僕、見たけど……あれは自然にできたひびだよ。剣で傷つけたり爪で引っ掻いたりしても、あんなふうにならない。ルイがやったわけじゃない。絶対」



事実だった。


あのひびは自然にできたものだ。


剣にしては細すぎて、爪にしては深すぎる。


ルイが傷つけたわけがない。


第一、さっきの話だって、ルイは肯定しなかった。