ルルー工房の月曜の午後




「なぁ、ルルー工房のはしごってあれ、ルイがやったって本当か!?」



廊下の向こうのリビング。


そこから若い男の声が聞こえて、二人は動きを止めた。



「えっ、いやあれは……」



困ったような気弱な声は、二人とも知っている。ルイだ。



「はしごに傷入れて、そのうち壊れるようにしたんだろ? えげつねぇな」



非難するような言葉とは裏腹に、男の声は笑っている。


その周りから、他の徒弟たちと思しき笑い声が上がった。



「俺らの仕事を横取りしたんだから、当然の報いだよな」



「ろくに徒弟もいない貧乏工房のくせに生意気なんだよ」



「フレスコが上手いからって粋がってんなよな。技術ばっかり鼻にかけて、あんなもん、芸術とは言えねぇよ」



口々に罵る言葉に、腹の底が冷えていくような心地がした。


震えそうになる手をぎゅっと握りしめて、ベルはかすかな声で「リュカ」と呼んだ。