「しかしまぁ、すごい収集品の数だな」



倉庫を見回してエドガーが言う。


リュカもベルも、先刻からずっとそう思っていた。



広い倉庫の中には、ラオコーンやヘラクレスのような有名な古代彫刻のレプリカが所狭しと並んでいる。


いたるところに大小様々な絵――おそらくは模写が立てかけられて、

それもラファエロやミケランジェロといった、誰もが知る巨匠のものから、

どこの画家かさっぱり見当もつかないようなものもある。


彫刻や絵だけではない。


壁一面のタピスリー、古びた鎧や剣、メドゥーサの首が彫られた盾、

床に無造作に置かれた木箱は蓋の角が欠けていて、中からは版画らしきものが覗いている。




ぽかんと口を開けるベルとリュカに、レイエは苦笑した。



「ほとんど義父のものだよ」


「お父さん?」



「もともとこの工房は妻の父のもので、彼はこういうものを集めるのが好きな方でね。

俺は若い頃、家が貧しくて徒弟金を払えなかったから、工房には入れてもらえなくてさ。

それでも絵描きになりたくて、頼み込んで、ここに置いてあるレプリカや版画なんかをデッサンさせてもらっていたんだ」