画家は芸術家であり職人であり、商人でもある。
パトロンや顧客の信用を落とすのは自殺行為だ。
こういうところは自分も商人の娘だな、と、ベルは内心で苦笑した。
「新入りがなかなか言うじゃん」
ジルの言葉に、出しゃばりすぎただろうか、とベルは縮こまった。
けれど、てっきり怒られるものと思っておそるおそる視線を向けると、
ジルもその隣のリュカも、どこかすっきりしたような笑みを浮かべていた。
「俺はベルに賛成」と、リュカが言い、ジルが頷く。
そして、きょとんとしているベルの背を、平手でおもいきり叩いた。
「おまえの単純さが羨ましいよ」
「え、もしかして僕、馬鹿にされてますか?」
「ちょっと兄さん、褒めるときは素直に褒めようよ」
リュカが苦笑するが、状況が読めないベルは困った顔をするばかりだ。
目が合ったエドガーは、かすかに目元を和ませて、ベルの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
「商人として満点の答えだ」
「……え?」



