ジルとリュカはすぐに梯子を固定するために窓枠や柱にくくりつけていた縄を切り、梯子をたたむ作業を始める。
何か手伝えることはないかときょろきょろしていると、突然頭に何かが乗って、ベルは飛び上がった。
何かと思って顔を上げると、見下ろすエドガーと目が合う。
「よく気がついた。礼を言う」
いつもと変わらない無表情のようで、けれどその表情がいつもより柔らかく見えたのは、エドガーの声音が優しかったからだろうか。
ぐしゃぐしゃと搔き回すようにベルの頭を撫でて、作業を終えたジルとリュカを呼んだ。
「さて、代わりの梯子を調達しないといけないわけだが……」
「道具屋に頼んだとして、納期には間に合いませんね」
即座に答えたのはジルだった。
きょとんとした顔のベルがリュカに向けると、リュカは苦笑して、
「天井画を描くときに使う梯子は、工房が元々持っている梯子が依頼された場所の天井の高さに合わない場合、その都度、特注してるんだ。
ま、レイエなんかは大きな工房だから、いろんな高さの梯子をたくさん持っているみたいだけど」
と、補足をしてくれる。



