できあがったアズライトの青を梯子の足元へ運び、青できました、と上のエドガーへ声をかけようと、ベルは顔を上げる。
と、そこでベルはピタリと動きを止めた。
目の前には梯子の木肌。
小さな傷や絵の具で汚れたその木肌に、木目とは明らかに違う、一本の筋。
それが何なのかわかった瞬間、ベルは勢いよく上を向いて叫んだ。
「親方っ! 梯子にヒビが入ってます! 降りてきてください!」
一瞬の沈黙の後、血相を変えて飛んできたのはジルだ。
「どこ」
「ここです」
ベルの指差したヒビを見ると、ジルは眉間のしわをさらに深くして、「これはもう駄目だな」とつぶやく。
「親方ー、俺ら押さえてるんで、降りてきてください」
ジルの言葉に頷き、エドガーは一歩一歩梯子を下りてくる。
途中、梯子がきしきしと音を立てるたびに、ベルは心の臓が止まりそうな思いをしたが、エドガーは顔色も変えずに下りきった。



