さらりと言われた言葉にとっさに反応できず、ベルは目をぱちくりさせた。
「へ……?」
「ずっと天井画で忙しかったからできなかったけど、この仕事がひと段落したら歓迎会でもしようか、って」
「親方が……?」
「うん」
リュカは頷いて、手元に視線を戻す。
ベルは止まっていた手を慌てて動かしながらも、視線をちらりとエドガーに向けた。
梯子の上で、天井に黙々と筆を走らせる背中。
無表情で、無愛想で、朴訥とした印象のこの男から、「歓迎会」などという賑やかですこし子供じみた言葉がどうしても連想できなくて、ベルは小さく笑った。
最近、わかってきたことがある。
たった数日でも、あまり言葉を交わさなくても、一緒に仕事をする中でわかったこと。