何が変わったのか、はっきりと言葉にはできない。


できないのだけれど、エドガーの描いた同じ絵は、確実に。



「良く、なったよね」


ぽろ、と、こぼれた言葉に、隣でリュカが頷いた。


すこし納得がいかないような顔をしていたのは、嫌いなセヴランの言葉で描き直したものが実際に良くなったからだろうか。



元々の絵も素晴らしかった。

けれどこれは、佳作が傑作になった、と言うべきか。


新たに描き直されたその絵は、まだ天井のほんの一部であるのに、勝るものなどない、と言えるほど圧倒的な傑作だと思えた。



きっと。



きっとベルやリュカには見ただけでわからない小さな瑕を、セヴランは見つける目を持っているのだろう。


そしてきっとエドガーは、自分の作品を、公正に見ることのできる人だ。


だからセヴランのあの当てつけのような短い言葉でその瑕を理解して、すこしの迷いも反発も抵抗もなく、漆喰をはがしてまで新しく描き直した。