リュカは急いで梯子を登り、地獄の炎に焼かれる女の描かれた絵を、漆喰ごと引き剥がす。
ジルは新しい石灰の用意を始め、その間にもエドガーは絵の具の残量を確認する。
止まっていた時間が動きだした。
呆然としているベルにかまわず、三人は忙しなく働く。
エドガーは今この場で描き直すつもりなのか、と、ベルがやっと悟ったのは一拍遅く、
その頃にはすべての準備が終わっていた。
すぐにリュカが漆喰を剥がし終えて梯子から下りてくると、
交代でエドガーがパレットと絵筆と漆喰の入った桶を持って梯子を登りはじめた。
始終険しい顔をしているセヴランの表情は読めない。
レイエは戸惑ったような、ジルとリュカは心配そうな顔をして、
けれどもベルを含めて四人とも、どこか興奮したような光を瞳にたたえてエドガーを見守っていた。
慣れた手つきで手際よく漆喰を壁に塗ると、エドガーは刷毛を絵筆に持ちかえた。
その手が流れるように動いて、筆の先から、ついさっきまでそこにあった地獄の炎が再び現れた。



