楽観的、という自覚はある。
けれど、それに上回る自信がベルにはあった。
それなりの工房に入れるだけの腕はあると、自分では思っている。
無事に辿り着いたベルシー通りで、レイエ工房はすぐに見つかった。
規模が大きく、人の出入りが盛んで、一等目立つのだ。
ベルは荷物の中から数枚の習作やデッサンを出して、レイエ工房の入口から出てきた青年に声をかけた。
「あの、レイエ工房の方ですか?」
青年は歩みを止め、ベルを訝しげに見つめる。
「そうだけど、何?」
「あの、あた……僕、ここに弟子入りしたいんです! 親方に合わせてもらえませんか?」
「弟子入り? あんた、名前は?」
青年に尋ねられて、ベルはあらかじめ用意してあった偽名を答える。