「俺も兄さんに言われて初めて気がついたとき、心底恥ずかしかったなぁ」
「え、リュカも?」
思わず顔を上げると、リュカは困ったような笑みを浮かべて頷いた。
その唇が開いて何かを言おうとした、――そのとき。
「やぁやぁルルー殿、天井画ははかどっているかね?」
知らない声が突然聖堂に響いて、ベルは危うくイエローオーカーを落としかけた。
入ってきたのは壮年の男が二人。
「……セヴラン殿、レイエ殿」
レイエ殿、ということは、どちらかはレイエ工房の親方だろうか。
そう思ったが、セヴランという名には聞き覚えがなくて、ベルはちらりとリュカを見る。
「右の気の弱そうな方が、レイエ工房親方のフィルマン・レイエ。左の偉そうなヒゲが、ベルシー一帯の絵画工房のギルド長、エリック・セヴラン」
気のせいか悪意のこもっているような言い方で、リュカは答えた。
ほんわかとして柔らかい雰囲気の彼が、いつになく鋭い目をしてセヴランを睨みつけていた。



