思わず手を止めた。
そして、ベルは真っ赤になって、すぐに再び手を動かしはじめた。
エドガーのやり方を、何も考えずに非効率的だと思った自分が恥ずかしかった。
リュカに言われるまで気がつかなかったことも、心底恥ずかしかった。
まとめて作ってしまえば早いのにそうしなかったのは、ベルや弟子たちがより高い頻度で絵の具調合の練習をするため。
絵の具の調合にも技術がいる。
絵が上手なだけでは良い画家にはなれない。
絵の具の調合、漆喰を作る技術、漆喰をムラなく塗る技術、
そして絵になにかしらの寓意を込めるために必要になる、高い教養。
それらすべてが備わって、はじめて一人前の画家になれる。
その、最も基本的なことを完璧にこなせるよう、エドガーは絵の具をまとめて作り置きしないようにしていたのだ。
――そんなこともわからなかった自分が恥ずかしい。
赤い顔で黙々と作業をするベルを見て、リュカは小さく笑った。



