「ん、これでよし、と」
練りあがったイエローオーカーから手を離して、ふう、と息を吐く。
くるみ油を探しているリュカに、「できたよ」と声をかけると、「そうか」と、返事は背後から帰ってきた。
「ん? ……おわぁっ!」
いったいいつの間にそこにいたのか、振り返るとエドガーが真後ろに立っていた。
てっきりエドガーは梯子の上で絵を描いている真っ最中だと思っていたので、心の臓が止まるかと思うほど驚いた。
ちら、と、先ほどまでエドガーが作業をしていたあたりを見ると、ジルが黙々と石灰と砂を混ぜているところだった。
どうやら漆喰を塗った箇所の絵を描き終えて、また新しく漆喰を塗りはじめようとしているらしい。
フレスコ画は塗った漆喰が乾くまでに絵を描き終えなければならないので、
少しずつ、漆喰を塗っては描き、塗っては描きを繰り返さなければならないのだ。
驚いて飛びのいたベルをよそに、
エドガーはベルの作ったイエローオーカーの容器を手に取り、顔を近づけてじっと見つめはじめる。



