「へぇ」
「東洋から来た色だから珍しくて、最近はウルトラマリンに並ぶくらい、貴族の間で人気なんだよ」
ウルトラマリン、というのはラピスラズリを粉状にしたものから作る青だ。
吸い込まれるような深い青は美しく人気が高いが、材料が高価なために多くは使えない。
ネーデルラントのフェルメールという画家が、聖人でもないただの少女のターバンのためにウルトラマリンを使ったというのは有名な話だが、
大抵の画家は聖母マリアやキリストのローブを塗るための取って置きの色として使うのが常だ。
インディゴは高価ではないが、東の国を思わせる独特の異国情緒が人気だと、リュカは言う。
同じだけ人気ならば安価な方の色を使うのは当然だろう。
ウルトラマリンのラピスラズリも用意はしてあるが、しばらくは使わないようで、
青といえば孔雀石の緑青やアズライトの青、そしてインディゴの藍ばかりを、リュカは朝からせっせと作っていた。



