ベルはさっそく材料一式の入った袋を漁り、必要な分だけの黄土とアマニ油を容器に入れ、慣れた手つきで練りはじめた。
ノエの屋敷で絵を描くときはたいてい絵の具を革袋に詰めたものを買っていたが、油で練るだけのものならこっそり作ったこともあるのだ。
ちら、と隣を見ると、リュカはるつぼを火にかけていた。
火を使うような絵の具、と、しばし考え込んで、ベルは「ランプブラックを作ってるの?」と尋ねてみる。
しかし、リュカは首を振ると、「インディゴ」と答えた。
「インディゴ? でもインディゴって、退色しやすいって聞いたことがあるけど」
「最近ね、インディゴを定着させる方法が編み出されたんだよ」
聞いたことのない話に、ベルは目を丸くした。
イエローオーカーを練る手元に集中しながらも、インディゴの生成方法に興味津々なのが伝わったのだろう。
リュカは苦笑しながらも教えてくれた。
「岩ミョウバンをこうして火にかけて、白くなるまで焼く。それをインディゴに混ぜてクルミ油で練ると、色褪せなくなる」



