その彫刻家の名前なら知っている。アルフォンス・ミシュレ。
ミシュレ工房の名はパリでは誰でも知ってるくらい有名で、ベルの家の庭にもミシュレが手がけたアポロンの像があった。
二人は半開きの扉から、そっと中をうかがった。
身廊の両辺を側廊で囲まれた、広いバシリカの聖堂の奥に、二人の男の姿があった。
長い長い梯子の上にいる一人はエドガーだ。
その梯子の下にいて、梯子を支えているのがジルだろうか。
梯子の線を追って天井を見上げたベルは、大きく息を吸い込んだ。
天井を埋め尽くした色彩があまりに美しくて、言葉を失った。
澄んだスカイブルーに浮かぶ雲の柔らかなパールホワイト。
天使のなめらかな肌は淡いベビーピンク。
聖人の衣装を彩るコーラルレッド、エメラルドグリーン、コバルトブルー、クロムイエロー、マンダリンオレンジに、バイオレット。
聖書の場面の数々が、天地創造から時間を追って、礼拝堂の入り口から奥へ順番に描かれている。
その、色彩の鮮やかさ。



